死亡保険金にかかる税金|相続税・所得税・贈与税の判定方法【2026年版】

保険と税金・節税

最終更新日:2026年10月4日

死亡保険金にかかる税金は、保険証券に書かれた「契約者」という名称だけでは決まりません。被保険者、実際の保険料負担者、保険金受取人の組み合わせと、保険金を一時金・年金のどちらで受け取るかを確認します。

今回の確認範囲:2026年10月4日に、国税庁の令和8年4月1日現在の案内を基に、相続税・所得税・贈与税の判定、生命保険金の非課税限度額、一時所得、相続放棄、孫の扱いを確認しました。個別の税額は、他の相続財産・贈与・所得・控除等で変わります。

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先に結論

  • 被保険者と保険料負担者が同じ:相続税
  • 保険料負担者と受取人が同じ:所得税(一時金なら原則として一時所得)
  • 被保険者・保険料負担者・受取人がすべて異なる:贈与税

名義と実際の負担が異なる場合や、複数人が保険料を負担した場合は個別確認が必要です。

死亡保険金の税金は3人の関係で判定する

国税庁は、被保険者、保険料の負担者、保険金受取人が誰かによって、所得税・相続税・贈与税のいずれかになると案内しています。ここで重要なのは、契約者名義だけでなく誰が保険料を負担したかです。

被保険者 保険料負担者 受取人 税区分
夫 夫 妻 相続税
夫 妻 妻 所得税
妻 夫 子 贈与税

一時金で受け取る場合と年金で受け取る場合でも扱いが変わります。保険料負担者と受取人が同じ場合、一時金は一時所得、年金は公的年金等以外の雑所得になるのが国税庁の基本整理です。相続または贈与により年金受給権を取得した場合は、受給権への相続税・贈与税と、その後受け取る年金の所得税を調整する別の計算があります。

契約者名義と保険料負担者を混同しない

保険証券の契約者が夫でも、保険料を妻の口座や妻の資金から継続して負担していた場合、名義だけで判定できません。口座振替記録、クレジットカード明細、給与天引き、保険会社の支払履歴などから実際の負担者を確認します。

保険料を複数人が負担した場合や途中で負担者を変更した場合も、全額を一つの税区分として簡単に計算できないことがあります。加入時の申込書だけでなく、払込期間全体の記録を準備して税務署や税理士へ確認してください。

相続税になる場合と非課税限度額

被保険者と保険料負担者が同じ場合、死亡保険金は相続税の対象です。受取人が相続人なら相続により取得したもの、相続人以外なら遺贈により取得したものとみなされます。

相続人が受け取った死亡保険金には、次の非課税限度額があります。

500万円 × 法定相続人の数

この金額は「受取人1人につき500万円」ではなく、相続人全体で使う限度額です。複数の相続人が保険金を受け取る場合、国税庁の計算では、各人が受け取った保険金額の割合に応じて非課税限度額を配分します。

相続税の基礎控除は別に計算する

生命保険金の非課税限度額を適用した後、預貯金、不動産、有価証券などを含む課税価格を集計します。相続税の基礎控除は、原則として次の式です。

3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

課税価格の合計が基礎控除以下なら、原則として相続税はかかりません。ただし、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例など、申告することで適用する制度もあります。「保険金が非課税限度額以内だから申告不要」と保険金だけで判断せず、遺産全体と適用する特例を確認してください。

相続人以外の受取人には非課税の適用がない

被相続人が保険料を負担していた契約でも、受取人が相続人でなければ、500万円×法定相続人の非課税は適用されません。孫、兄弟姉妹、内縁の配偶者などを受取人に指定している場合は、その人が相続人に当たるか確認が必要です。

現在の契約内容を整理する

相談前に、保険証券、保険料の支払記録、受取人、家族関係を準備してください。個別の税額は税務署または税理士へ確認します。

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所得税になる場合:一時金と年金で異なる

保険料負担者と保険金受取人が同じ場合は所得税の対象です。死亡保険金を一時金で受け取れば原則として一時所得、年金で受け取れば公的年金等以外の雑所得になります。

一時金で受け取る場合の計算

その死亡保険金以外に一時所得がない場合、一時所得は次の順で計算します。

  1. 受取保険金から、その保険金に対応する払込保険料を差し引く
  2. 一時所得の特別控除を差し引く(年間で最高50万円)
  3. 残額の2分の1を総所得金額へ算入する

(受取保険金 − 対応する払込保険料 − 特別控除最高50万円)× 1/2

50万円の特別控除は、保険契約ごとではなく、その年の一時所得全体に対する上限です。同じ年に満期保険金、懸賞金など他の一時所得があれば合算します。払込保険料も、受取人が負担したうち当該保険金に対応する金額を確認します。

最終的な所得税率は、給与や事業など他の所得と所得控除で変わります。「死亡保険金がいくらなら税額はいくら」と一律に計算することはできません。給与所得者の確定申告が必要かを判断する20万円基準も、保険金の受取額ではなく、給与・退職所得以外の所得金額等で判定します。住民税の申告要否は自治体へ確認してください。

年金で受け取る場合

保険料負担者本人が死亡保険金を年金で受け取る形なら、その年に受け取る年金額から対応する払込保険料等を差し引いた額が雑所得になります。相続・贈与で年金受給権を取得した場合は、受給権に対する相続税・贈与税と毎年の所得税が重複しないよう別の計算があるため、保険会社の支払明細と国税庁の案内を確認します。

贈与税になる場合

被保険者、保険料負担者、保険金受取人がすべて異なる場合は、保険料負担者から受取人への贈与として贈与税の対象になります。たとえば、妻を被保険者、夫を保険料負担者、子を受取人とする契約です。

暦年課税では、その年の1月1日から12月31日までに受けた贈与の合計から基礎控除110万円を差し引きます。死亡保険金だけに110万円の枠が追加されるわけではありません。同じ年に他の人から受けた贈与も含めて計算します。

税率は一律ではありません。直系尊属から18歳以上の子・孫への一定の贈与に用いる特例税率と、それ以外の一般税率があり、受取人の年齢、保険料負担者との関係、他の贈与によって結果が変わります。そのため、旧記事にあった「1,000万円なら贈与税177万円」という固定例は、条件を省くと誤解を招くため削除しました。

孫・相続放棄・複数受取人の注意点

孫が受け取る場合

孫は常に相続人になるわけではありません。被相続人の子が先に死亡したなどの理由で代襲相続人になっている場合と、相続人ではない孫が受取人に指定されている場合を分けます。相続人でない孫が受け取った死亡保険金には、生命保険金の非課税を適用できません。

相続税額の2割加算は、被相続人の配偶者および一親等の血族以外が財産を取得した場合に適用されるのが原則です。代襲相続人となった孫は対象外ですが、孫養子は代襲相続人でない場合に2割加算の対象になるなど例外があります。「孫なら必ず2割加算」「孫なら必ず非課税対象外」と一律に判断しないでください。

相続放棄した人が受け取る場合

受取人として指定された生命保険金は、一般に受取人固有の財産として、相続放棄をしても受け取れる場合があります。ただし税務上、相続放棄した人は死亡保険金の非課税を適用できません。一方、非課税限度額を計算する「法定相続人の数」には、放棄がなかったものとして人数を数えます。この違いを分けて確認してください。

相続人が複数いる場合

非課税限度額は、各相続人の受取額に応じて配分します。1人が受け取った金額から、500万円×法定相続人の数をそのまま全額控除できるとは限りません。受取人別の保険金額と、すべての相続人が受け取った保険金の合計を確認します。

契約時・受取時の確認手順

  1. 被保険者を確認:誰の死亡を保険事故とする契約か。
  2. 実際の保険料負担者を確認:名義だけでなく、口座・カード・資金の出所を払込期間全体で確認する。
  3. 受取人を確認:現在の氏名・続柄と、相続人に当たるかを確認する。
  4. 受取方法を確認:一時金か年金か、選択できる場合の課税関係を確認する。
  5. 他の財産・所得を集計:保険金だけでなく、相続財産、一時所得、贈与を同じ年単位で確認する。
  6. 申告要否を確認:国税庁の判定コーナー、税務署、税理士で個別条件を確認する。

受取時にそろえる情報

保険証券、保険金支払通知書、払込保険料の記録、受取方法、被保険者・負担者・受取人の関係が分かる資料を準備します。相続税では、他の財産・債務、法定相続人、過去の贈与、適用を検討する特例も必要です。必要書類は契約・申告内容で異なるため、旧記事のように住民票や印鑑証明等を一律の必須書類として扱わず、保険会社と税務署の案内で確認します。

申告期限

相続税の申告・納税期限は、原則として被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。贈与税は原則として贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。所得税の確定申告期間は対象年により確認してください。申告期限が休日に当たる場合などの扱いもあるため、実際の日付を国税庁で確認します。

オンラインで契約内容を整理する

受取人や保障内容の確認はできますが、個別の申告・税額は税務署または税理士へ相談してください。

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税額を一律比較できない理由

相続税では、死亡保険金以外の遺産、債務、葬式費用、過去の贈与、法定相続人、配偶者の税額軽減などが関係します。所得税では、他の一時所得、給与・事業所得、所得控除などが関係します。贈与税では、その年に受けた他の贈与、贈与者との続柄、年齢、課税方法が関係します。

したがって、相続税・所得税・贈与税のどれが常に最も安いとはいえません。税金だけを理由に受取人や契約を変更すると、遺族の生活費、遺産分割、保険料負担の実態、保険会社の手続きと合わなくなることがあります。保障の目的を先に決め、税務・相続・契約手続きを合わせて確認してください。

契約変更を検討するときの注意点

税区分だけで受取人を変更しない

死亡保険は、葬儀費用、遺族の当面の生活費、子どもの教育費、住宅費など、受取人が必要とする資金を準備する契約です。非課税の適用だけを優先して受取人を変えると、必要な人へ必要な時期に資金が届かないことがあります。誰の生活をどの期間支える保障かを整理してから、税務上の扱いを確認します。

保険料の資金移動も記録する

夫名義の口座から引き落としていても、直前に妻がその口座へ同額を入金しているなど、資金の流れによって実質的な負担者の確認が必要になることがあります。家族間で保険料相当額を送金する場合は、送金元、送金目的、引落口座を記録し、名義だけで説明しようとしないことが大切です。

受取人変更には契約上の手続きがある

結婚、離婚、出生、死亡などで家族関係が変わったら、保険証券と保険会社の登録内容を確認します。受取人の変更方法、変更できる範囲、被保険者の同意、必要書類は契約ごとに異なります。変更を申し出ただけで完了したと考えず、保険会社の受付結果と変更後の証券・契約内容通知を保存してください。

満期保険金・解約返戻金とは分ける

この記事は被保険者の死亡により支払われる死亡保険金を扱います。満期保険金、解約返戻金、入院給付金、リビング・ニーズ特約の生前給付金などは、同じ生命保険契約でも課税関係が異なる場合があります。保険会社から届いた支払通知書で給付名と支払理由を確認し、死亡保険金の説明をそのまま当てはめないでください。

申告しない判断にも根拠を残す

相続税、所得税、贈与税の申告が不要と判断した場合も、保険金額、保険料負担者、払込保険料、法定相続人、他の財産・所得・贈与を確認した記録を残します。後から保険会社の支払調書や相続財産との不一致を確認する必要が生じたとき、判断過程を説明しやすくなります。保存期間や具体的な資料は税務署または税理士へ確認してください。

よくある質問

Q. 死亡保険金は必ず相続税になりますか?

A. いいえ。被保険者、実際の保険料負担者、受取人の組み合わせにより、相続税・所得税・贈与税のいずれかになります。

Q. 500万円×法定相続人の数は、受取人ごとの枠ですか?

A. 受取人ごとの枠ではありません。相続人全体の非課税限度額で、複数の相続人が受け取った場合は受取額の割合に応じて配分します。

Q. 相続放棄しても死亡保険金を受け取れますか?

A. 受取人固有の財産として受け取れる場合があります。ただし、相続放棄した人は生命保険金の非課税を適用できません。契約と個別事情を確認してください。

Q. 孫を受取人にすると必ず2割加算ですか?

A. 必ずではありません。代襲相続人となった孫は2割加算の対象外です。孫養子や相続人でない孫など、立場により扱いが異なります。

Q. 一時所得の50万円控除は契約ごとに使えますか?

A. 契約ごとではありません。その年の一時所得全体で最高50万円です。他の一時所得があれば合算します。

Q. 保険相談で税額まで確定できますか?

A. 契約内容や保障目的の整理には利用できますが、個別の税務判断、申告書作成、税額確定は税務署または税理士へ確認してください。

出典・参考資料

免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務・法律・保険設計に関する助言ではありません。税制や契約内容、家族関係により結果は異なります。申告前に国税庁の最新情報、所轄税務署、税理士、保険会社へご確認ください。

執筆・監修:保険比較ナビ編集部

本記事は、金融庁・国税庁・各社公式サイト等の一次情報をもとに、保険比較ナビ編集部が中立的な立場で作成しています。特定の金融商品を推奨するものではありません。

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